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成人の鼠径ヘルニア(脱腸)とは

1.鼠径ヘルニアについて

図1イメージ  鼠径ヘルニアとは足の付け根(鼠径部)の筋肉の膜が弱くなり穴があき(ヘルニア門)、ここからお腹の壁を裏打ちする腹膜という膜(ヘルニア嚢)が袋状に飛び出した状態を指します(図1)。この袋が出たり入ったりしているうちは心配ありませんが、ヘルニア嚢の中に腸も一緒に脱出し、元に戻らなくなる(カントン)と腸が腐り、緊急手術で全身麻酔下に腸を切除しなければなりません(図2)。また、ヘルニアの脱出を気にするあまり、運動や旅行も敬遠がちになるなど普段の生活にも支障を来すことになります。鼠径ヘルニアは手術により確実に治療することができ、これにより日常生活の質を改善することにも繋がります。現在行われている手術は比較的痛みも少なく、短い入院(1泊2日〜)での手術も可能なため、治療をためらっている方も積極的に手術することをお勧めします。


図2イメージ

2.手術について

図3イメージ  従来の鼠径ヘルニアの手術は弱くなった筋膜を縫い縮める方法が行われていましたが、再発率が高いという欠点がありました。このことから、今ではヘルニアの穴をメッシュプラーグ(図3)という人工補強剤でふさぐ方法(メッシュプラーク法)が行われています。
 この方法では人工補強材で穴を塞ぐ手術であるため、手術したところに緊張がかからないため再発率が低いうえ、手術する部分だけの麻酔(局所麻酔)で、1泊2日の短期入院での施行が可能です。退院後はすぐに日常生活ができるようになりますが、運動や重労働は3週間ほど控えていただきます。当院では下半身麻酔(腰椎麻酔)での手術も行っています。
図4イメージ

 現在、局所麻酔下のヘルニア手術は多くの病院で局所麻酔での日帰り手術が行われていますが、仕事や年齢などにより個人の生活スタイルは異なり、短期入院ですぐ仕事に戻りたい人もいれば、ゆっくり入院して治したいと思う方もいると思います。麻酔方法(局所麻酔あるいは腰椎麻酔の選択)や入院期間(1泊2日から最長7日まで)について、患者様のご希望に応じますので、担当医(森俊治)にご相談ください。